月給から時給を換算する計算方法と法定基準式
月給制(正社員・契約社員・月給パート)で働く方の時給は、労働基準法施行規則第19条に基づき、「基準内給与 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間」で厳密に計算します。
例えば、年間休日120日・1日8時間勤務の企業であれば、年間労働日数は245日(365日 - 120日)となり、年間労働時間は1,960時間です。これを12ヶ月で割ると、1ヶ月平均所定労働時間は約163.3時間となります。
時給換算で「除外できる手当」と「含める手当」の区分
月給から時給を割り出す際、求人票や給与明細の「総支給額」をそのまま割ってはいけません。労働基準法第37条第5項および同施行規則第21条により、労働と直接関係のない個人的事情に基づく以下の7つの手当は時給算定の基礎から除外することが義務付けられています。
| 時給計算から【除外する】手当(限定列挙) | 時給計算に【含める】手当(基準内賃金) |
|---|---|
・通勤手当(定期代・ガソリン代実費) ・家族手当・扶養手当(扶養人数連動) ・別居手当・単身赴任手当 ・子女教育手当 ・住宅手当(家賃実費・住宅ローン連動型) ・臨時の賃金(慶弔見舞金、結婚祝金など) ・賞与(ボーナス)(1ヶ月超ごとの支払い) | ・基本給 ・役職手当・役員手当 ・職能手当・職務手当 ・資格手当・専門手当 ・地域手当・物価手当 ・一律定額支給の住宅手当(全員定額は算入) ・皆勤手当・精勤手当 |
※住宅手当であっても「全社員に一律2万円支給」のような一律手当は、法律上「除外」できず時給の基礎に算入しなければなりません。
月給別・年間休日別の実質時給換算早見表(1日8時間勤務)
月給(基本給+対象手当)と年間休日数の組み合わせによる時給単価の一覧です。休日数が少ない会社ほど実質労働時間が長く、時給単価が著しく下がる点にご注目ください。
| 月給(基準内給与) | 年休105日(月173.3h) | 年休115日(月166.7h) | 年休120日(月163.3h) | 年休125日(月160.0h) |
|---|---|---|---|---|
| 月給 18万円 | 時給 1,038円 | 時給 1,080円 | 時給 1,102円 | 時給 1,125円 |
| 月給 20万円 | 時給 1,154円 | 時給 1,200円 | 時給 1,224円 | 時給 1,250円 |
| 月給 23万円 | 時給 1,327円 | 時給 1,380円 | 時給 1,408円 | 時給 1,438円 |
| 月給 25万円 | 時給 1,442円 | 時給 1,500円 | 時給 1,530円 | 時給 1,563円 |
| 月給 28万円 | 時給 1,615円 | 時給 1,680円 | 時給 1,714円 | 時給 1,750円 |
| 月給 30万円 | 時給 1,731円 | 時給 1,800円 | 時給 1,837円 | 時給 1,875円 |
| 月給 35万円 | 時給 2,019円 | 時給 2,100円 | 時給 2,143円 | 時給 2,188円 |
固定残業代(みなし残業)がある求人の落とし穴と逆算判定
求人票に「月給30万円」と記載されていても、そこに「固定残業手当(例:40時間分・7万円)」が含まれている場合、基準内給与は23万円となります。この場合の実質基本時給は約1,408円となり、残業代を含まない月給23万円の会社と同じ基本賃金水準になります。
転職や就職活動で提示給与を比較する際は、総支給額だけでなく「みなし残業時間数」と「年間休日数」を必ず確認し、当ツールの換算機能で純粋な時給単価を割り出して客観的に比較しましょう。
| 求人表示月給 | 固定残業なし(純粋基本給) | 固定残業20h含む求人 | 固定残業40h含む求人 |
|---|---|---|---|
| 月給 25万円 | 時給 1,530円 | 時給 1,316円(-214円) | 時給 1,151円(-379円) |
| 月給 30万円 | 時給 1,837円 | 時給 1,580円(-257円) | 時給 1,384円(-453円) |
| 月給 35万円 | 時給 2,143円 | 時給 1,843円(-300円) | 時給 1,617円(-526円) |
※年休120日(月所定163.3h基準・割増率25%で固定残業代を逆算)。固定残業代40時間を含む求人は、基本時給が約380〜520円も低くなります。
正社員の給与が「最低賃金」を下回っていないかの確認手順
「正社員だから最低賃金は関係ない」と思っていませんか?実は初任給や基本給が低めに抑えられている職種では、近年急速に引き上げられた地域別最低賃金(東京都1,163円、神奈川県1,162円など)を下回り、知らず知らずのうちに違法(最低賃金法違反)になっているケースが相次いでいます。
- 対象賃金の抽出:給与明細から、基本給および算入対象となる手当(役職・資格・地域手当等)の合計額を出す(※通勤手当、家族手当、残業代、賞与は除外)。
- 月平均所定労働時間の計算:会社の就業規則や雇用契約書で年間休日数を確認し、年間所定労働時間を12で割る。
- 割り算して比較:「対象賃金 ÷ 月平均所定労働時間」を計算し、勤務地の都道府県最低賃金を1円でも下回っていないか確認する。
給料・時給換算に関するよくある質問(FAQ)
基本給20万円の時給換算はいくらですか?▼
年間休日120日(1日8時間・月平均所定163.3時間)の会社の場合、基本給20万円の時給換算は「約1,224円(200,000 ÷ 163.3)」です。法定労働時間の週40時間基準(月平均173.3時間)では約1,154円となります。みなし残業代が含まれている場合は、残業手当分を差し引いた金額で計算する必要があります。
みなし残業(固定残業代)が含まれる求人の時給はどう計算しますか?▼
求人票の総支給月給から固定残業手当を差し引いた「基本給」を、所定内労働時間で割って計算します。例えば「月給25万円(固定残業代40時間分・5.8万円を含む)」の場合、基本給は19.2万円となり、月163.3時間勤務なら実質時給は約1,176円です。固定残業代を除外しないと、実質的な時給を過大評価してしまうため注意が必要です。
手取り月給から時給を逆算することはできますか?▼
手取り額から逆算する場合、税金や社会保険料で約18〜20%控除されているため、まず「手取り ÷ 0.8」等で総支給額(額面)を推計してから所定労働時間で割ります。例えば手取り20万円なら額面は約24万〜25万円となり、月163.3時間勤務の場合の額面時給は約1,470円〜1,530円、手取り額そのものを割った手取り時給は約1,225円となります。
年間休日数(105日・120日・125日)で時給換算はどう変わりますか?▼
月給が同じであっても、年間休日数が少ない会社ほど実質労働時間が長くなるため時給は下がります。例えば基本給23万円の場合、年間休日125日(月160時間)なら時給約1,438円ですが、年間休日105日(月173.3時間)の会社では時給約1,327円となり、時給単価で約110円(年間約23万円相当)の大きな差が生まれます。
ボーナス(賞与)を含めた「年収ベースの実質時給」はどう計算しますか?▼
賞与を含めた真の時給は「年間総支給額(月給×12 + 年間賞与) ÷ 年間総所定労働時間」で求めます。例えば基本給25万円+賞与年100万円(年収400万円・年間所定1,960時間)の場合、4,000,000 ÷ 1,960 ≒ 時給約2,041円となります。月給のみの時給(約1,530円)と比べて大幅に高くなります。
正社員の月給を時給換算して最低賃金を下回っていたら違法ですか?▼
明確な違法(最低賃金法違反)です。最低賃金は雇用形態に関係なく全労働者に適用されるため、正社員であっても「(基本給 + 対象手当) ÷ 月平均所定労働時間」が都道府県の最低賃金を1円でも下回っていれば法律違反となり、会社に対して過去3年分の差額請求が可能です。
時給換算で「除外して計算しなければならない手当」は何ですか?▼
労働基準法施行規則第19条により、①通勤手当、②家族手当(扶養手当)、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当(家賃実費連動型)、⑥臨時の賃金(慶弔金等)、⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)の7項目は、時給換算の基礎から除外することが定められています。一方、役職手当や資格手当、職務手当は時給換算の基礎に含めて計算します。
日給制(日給月給制)の場合の時給計算はどうなりますか?▼
日給制の場合、「日給額 ÷ 1日の所定労働時間」で求めます。例えば日給10,000円で1日の所定労働時間が7.5時間の場合、10,000 ÷ 7.5 ≒ 時給約1,333円となります。日給制であっても所定時間を超えた残業には25%増の割増賃金が発生します。
正社員からパート・アルバイトへの転職時、時給はどう比較すべき?▼
正社員時の「有給休暇・賞与・退職金・福利厚生・社会保険の会社折半」を考慮すると、額面の時給比較だけでは不十分です。正社員の時給換算が1,500円の場合、パートで同等の実質収入を得るには賞与や各種手当の代替として時給1,800円〜2,000円以上が必要と言われています。
残業代の計算単価(割増基礎単価)と時給換算は同じですか?▼
同じです。会社が社員に残業代を支払う際の「1時間あたりの割増賃金基礎単価」は、まさに「基準内月給 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間」で算出されます。この単価に1.25を掛けたものが1時間あたりの残業代です。給与明細の残業手当が正しく計算されているか確認する際にもこの計算式を使います。