※労働基準法第39条により、パート・アルバイト・学生であっても有給休暇は法律上の義務です。会社が「バイトには有給はない」と拒否することは労働基準法違反(刑事罰対象)です。
パート・アルバイトの有給休暇付与日数早見表(比例付与制度)
週所定労働時間が30時間未満かつ週労働日数が4日以下のパート・アルバイトには、労働日数と勤続年数に応じて以下の日数の有給休暇が法律上自動的に付与されます(労基法施行規則第24条の3)。
| 週の所定労働日数 | 年間の労働日数目安 | 0.5年(6ヶ月) | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 6.5年以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 週4日勤務 | 169日〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 15日 |
| 週3日勤務 | 121日〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 11日 |
| 週2日勤務 | 73日〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 |
| 週1日勤務 | 48日〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 |
| フルタイム(週5日・週30h以上) | 217日以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 20日 |
※週の所定労働時間が30時間以上のパート・バイトは、週労働日数が4日以下であっても「フルタイム(正社員と同等)」の付与日数が適用されます。
有給休暇を取った日の給料計算方法(3つの法定方式)
労働基準法第39条第9項により、有給休暇を取得した日に支払う賃金は、会社の就業規則において以下のいずれかの方式をあらかじめ定めておく必要があります。
方式①:通常の労働時間を労働した場合に支払われる賃金(主流:約9割の企業)
最も一般的その日に予定されていたシフト時間分をそのまま働いたものとして時給計算します。
例:時給1,200円で1日5時間シフトの日に有給を取得した場合 = 1,200円 × 5時間 = 6,000円支給
方式②:労働基準法第12条に定める「平均賃金」
シフト変動型日によって勤務時間がバラバラな場合などに採用されます。直近3ヶ月間の総支給額を暦日数または労働日数で割って算出します。
※原則の「3ヶ月総額 ÷ 3ヶ月の暦日数(約90日)」と比較し、高い方の金額が支給されます。
方式③:健康保険の標準報酬日額に相当する金額
要労使協定会社と労働者代表との「労使協定」を締結している場合のみ選択可能です。健康保険の標準報酬月額を30で割った金額が支給されます。
扶養内パートの注意点:有給手当で「年収の壁」を超えてしまうケース
「12月に使っていなかった有給休暇をまとめて5日消化した結果、年収103万円や130万円を数千円オーバーして扶養から外れてしまった」というトラブルが毎年後を絶ちません。
有給休暇で支払われたお金は、出勤して働いた給与とまったく同一の課税対象所得です。税金(103万円)および社会保険(130万円)の判定対象となります。有給を消化する際は、その月・その年の累計支給見込み額を事前に計算した上で計画的に申請しましょう。
よくある有給トラブルと労働者の権利(時季指定権)
言う必要はありません。労働基準法上、有給休暇の利用目的は労働者の自由であり、「私用のため」で十分です。理由を理由に取得を拒否することは違法です。
会社には「時季変更権(別の日への変更)」しか認められておらず、有給そのものを拒否することはできません。単なる慢性的・恒常的な人手不足を理由にした時季変更権の行使は判例上違法と判断されます。
年5日の有給取得義務化!パート・アルバイトも罰則(30万円)の対象
2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、会社は毎年「最低5日」の有給休暇を確実に取得させることが義務付けられています(労基法第39条第7項)。
| 働き方の区分 | 年10日付与に到達する勤続年数 | 年5日取得義務の発生 |
|---|---|---|
| 週5日勤務(正社員・フルタイムパート) | 入社半年(0.5年) | ◯ 対象(1年以内に5日取得必須) |
| 週4日勤務パート | 勤続3.5年(10日付与) | ◯ 3.5年以降は毎年対象 |
| 週3日勤務パート | 勤続5.5年(10日付与) | ◯ 5.5年以降は毎年対象 |
| 週1〜2日勤務パート | 最大7日付与のため対象外 | ✕ 義務化対象外(取得自体は可能) |
義務対象者が年5日の有給を取得できなかった場合、会社には労働者1人あたり最大30万円以下の罰金が科されます。そのため、労働者が自発的に申請しない場合、雇用主が時季を指定して強制的に休ませる(使用者による時季指定)措置が取られます。
退職時の有給一括消化ルールと会社の「拒否」への対抗策
「バイトを辞めるときに残っている有給休暇を一気に使いたいが、店長に断られた」という相談が非常に多く寄せられます。結論から言うと、退職時の有給消化を会社が拒否することは違法です。
① 会社は「時季変更権」を行使できない
会社に認められているのは「別の日に変更してもらう権利(時季変更権)」だけであり、有給そのものを消滅させる権利はありません。退職日より後に労働日は存在しないため、退職日までの有給申請に対して会社は時季変更権を行使することが法的に不可能(最高裁判決等)となります。
② トラブルを防ぐ退職手続きの3ステップ
- 給与明細や管理画面で「現在の有給残日数」を正確に把握する。
- 「最終出社日」と「退職日」の間に有給残日数をすべて充当するスケジュールを組む。
- 退職届に「退職日」と「有給消化期間」を明記し、書面またはメールで提出する。
有給手当はいくらもらえる?計算3方式の支給額比較
時給1,200円、週3日勤務(1日5時間シフト・月給72,000円)のアルバイトが有給休暇を1日取得した場合の計算方式別の支給額比較です。
| 計算方式 | 算定根拠・計算式 | 1日あたりの有給支給額 | 特徴・適用企業 |
|---|---|---|---|
| ① 通常賃金方式(主流) | 時給1,200円 × シフト5時間 | 6,000円 | 全体の約9割。最もシンプルで分かりやすい |
| ② 平均賃金方式(特例計算) | 直近3ヶ月給与21.6万 ÷ 労働36日 × 60% | 3,600円 | 日によって労働時間が異なる職場に多い |
| ③ 標準報酬日額方式 | 健康保険の標準報酬月額 ÷ 30日 | 約2,933円 | 労使協定の締結が必須(社保加入者のみ) |
※就業規則で「通常の労働時間を働いた場合の賃金」と定められている事業所が大多数を占めます。ご自身の勤務先の計算方式は、雇用契約書または就業規則の「休暇」の項目で確認できます。